いびきがうるさい!?睡眠時無呼吸症候群のリスクを紹介!

無呼吸症候群

みなさん「いびきがうるさい!」と家族などに言われたことはありませんか?一人で寝ていると自分がいくら大きないびきをかいていても、それで目覚めることはまずありません。

しかし、人から指摘されるいびきというものは、よほど大きなものなのでしょう。

「いびきなんて体質、個性のようなものだ」と思っている方がいましたら、少し考え直してみましょう。その大きないびきは睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません睡眠時無呼吸症候群はさまざまな病気のリスクを上げ、ある日突然死してしまうかもしれません。

いびきがうるさいのは呼吸が止まっている可能性あり

いびきをなぜかくのでしょうか。いびきは咽頭が狭くなって、睡眠時に息を吸うときに狭くなった部分に空気が通過するため、覚醒時(起きているとき)には起きない咽頭の振動によって音が出てしまうことが原因です。

起きているときに咽頭の振動でいびきをかく人はいませんが、眠っているとのどを支えている筋肉が緩むので、さらに咽頭、気道が狭くなり、そこに無理やり呼吸をするので、狭い気道を一気に空気が駆け抜け、いびきをかいてしまいます。

いびきは鼻ちょうちんと一緒にマンガなどで描かれることもありますが、実際には鼻の異常ではなく、のどの異常になります。

通常、いびきをかいていても、人間の生理現象で問題ありませんが、気道があまりに狭いと、恒常的に睡眠中に呼吸ができず止まってしまう現象が起きます。もちろん、息を止めていては呼吸によって酸素を取り入れられないので、死んでしまいます。それを回避するため、大きないびきとともに急激に酸素を体内に入れます。

睡眠中なので、無意識の動作になりますが、この無呼吸の時間が一定数あり、大きないびきとともにそれを解消することが常態化しているのが「睡眠時無呼吸症候群」です。睡眠時無呼吸症候群は「呼吸が止まる」→「急激に息を無理やり吸い込み大いびき」を繰り返すので、当然酸素が十分に体内にいきわたらず、体への負荷がかかり健康上のリスクになります。

睡眠中の減少なので、自分で意識して直すこともできません。

睡眠時無呼吸症候群の病気リスク

研究によって、睡眠時無呼吸症候群の人は病気のリスクが大きく上がることがわかっています。具体的には心筋梗塞、脳梗塞のリスクが3倍になります。睡眠中に酸素を安定して体内に取り入れられないのですので、当然心臓や脳に負荷がかかり、それらの病気リスクが上がります。

また、がんのリスクが4倍になるというデータもあります。これはもっと検証が必要だと言われていますが、日本人の半数が生涯において罹るガンのリスクが4倍となるととても放置できません。

細胞のターンオーバー(新陳代謝)には酸素が不可欠で、睡眠時無呼吸症候群の場合、睡眠中の酸素が不十分なので、細胞が正常にターンオーバーせず・・という理屈にようです。

医師ではないので正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも前者(心筋梗塞や脳梗塞)については明らかにリスクが上がることがわかっています。

昼間眠いのは睡眠時無呼吸症候群の可能性!?

睡眠時間は厚生労働省などが推奨する「6時間以上」行っているのに、日中耐え難い眠気に襲われる方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。ご家族がいる場合、ご自身のいびきについても聞いてみましょう。

人間は睡眠時、ノンレム睡眠(深い睡眠)とレム睡眠(浅い睡眠)を繰り返します。ノンレム睡眠の時に体の疲労回復や脳の機能回復、細胞の修復(ターンオーバー)などが行われます。

いびきが大きく、睡眠時無呼吸症候群の場合、全体的な眠りが浅くなり、レム睡眠状態が長くなるという研究もあります。いくら睡眠時間があっても、ノンレム睡眠で深い眠りの時間が少ないと、身体が回復せず、さらなる睡眠を欲するため、日中も眠気に襲われてしまいます。

しっかり寝ているのに日中眠い、という人は身体の回復に重要な深い眠りが、睡眠時無呼吸症候群によって妨げられている可能性を疑ってください。

睡眠時無呼吸症候群かと思ったらすべきこと

睡眠時無呼吸症候群はれっきとした病気なので、自己診断はできません。原則的に病院で機械を使って検査します。

「睡眠時無呼吸症候群 検査」などでヒットする病院やクリニックで検査、治療ができます。基本的に耳鼻咽喉科(のどが狭くて起きるいびきですので)か、呼吸器内科に行きましょう。

そこで、在宅睡眠時にチェックできる簡易検査キットを受け取れます。保険適用で3,000円くらいです。

これを睡眠時に付けて自宅で寝ます。パルスオキシメーターを指に、チューブを鼻に付けて寝ます。睡眠時の呼吸やどのような体勢で寝ているのかわかる機械です。1回の睡眠で何度呼吸が止まり、最大何秒無呼吸の時間があるのかがわかります。

ここで、睡眠時無呼吸症候群ではない、軽度の睡眠時無呼吸症候群、中度の睡眠時無呼吸症候群、重度の睡眠時無呼吸症候群が判定できます。

重度の睡眠時無呼吸症候群で数値が振り切れている場合は即治療になりますが、そうではない場合、病院へ入院し、より詳しい(脳波なども測定する)再検査が行われることがあります(数万円かかります)。

基本的に最初の簡易検査で、ご自身が睡眠時無呼吸症候群かどうか、睡眠時無呼吸症候群の場合、その程度は何かがわかります。いびきが大きいことから、重大な病気リスクを持つ睡眠時無呼吸症候群かどうかまでつながりました。

睡眠時無呼吸症候群と診断されたら?

軽度でも重度でも睡眠時無呼吸症候群と診断されると、睡眠時に十分な深い眠りと酸素を摂取できていないことになり、改善しなければなりません。睡眠時に呼吸できるような治療が必要で、熟眠できるような治療になります。

のどの気道が狭いことが、いびきが大きく睡眠時無呼吸になる原因ですので、その改善が必要です。当然、気道をふさぐ肉がなくなれば空気が通りいびきもおさまります。

睡眠時無呼吸症候群の軽重にかかわらず、ダイエットが共通する取り組みになります。痩せましょう。可能ならば、ご自身が学生時代の体重に近づけるとかなりいびきが減り、睡眠時無呼吸症候群の症状が改善すると言われています。

軽度の睡眠時無呼吸症候群の対処法

ダイエットが基本になります。適切な運動によって体重を減らすと、睡眠時無呼吸症候群の指数が減り、いびきも改善されます。

加えて、マウスピースによる矯正も行われます。マウスピースは耳鼻咽喉科や呼吸器内科の診断書を歯科に持っていき、歯科で作成します。保険適用で15,000円くらい、自費で性能の良い外国製のマウスピース(30万円くらい)を導入することも可能です。

マウスピースによって睡眠中の歯を固定し、気道が広がるようにしていびきが起きないようにします。具体的には、下あごを突き出し、口が開かないような形で矯正します。バカ殿様の「アイーン」のような口にします。これにより、気道が広がり、無呼吸状態を回避します。

しかし、あくまでマウスピースは対症療法であり、外して寝ると戻ってしまいます。また、マウスピースは睡眠時無呼吸症候群の症状を完全に消すことはできません。根本的には痩せることで気道の周囲の肉を減らします。

中程度の睡眠時無呼吸症候群の対処法

中程度の睡眠時無呼吸症候群の場合、痩せることは当然で、併せてマウスピースでの症状改善が必要になります。

マウスピースは市販もされていますが、すぐ外れてしまい、効果は期待できません。耳鼻咽喉科や呼吸器内科医の「この人は睡眠時無呼吸症候群でマウスピース作成をお願いします」という診断書をもらって、歯科医で作ってもらってください。

マウスピースが気になり眠れない、起きてしまうということはあまりありません。

これまでの歯の位置を矯正するので、もとに戻そうとかなりの力がかかり、マウスピースが割れてしまうこともあります。健康保険適用で修復してもらえます。自費診療の海外製マウスピースは非常に頑丈ですので、そこをどう考えるかです。

また重度寄りの中程度睡眠時無呼吸症候群の場合、後述のCPAPが保険適用できる場合があります。こちらは、耳鼻咽喉科や呼吸器内科と相談になります。

重度の睡眠時無呼吸症候群の対処法(治療)

重度の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、健康上のリスクが現在進行形で大きいので即治療に入ります。今日寝ているときに、心筋梗塞が起きる可能性も否定できません。

重度の睡眠時無呼吸症候群の治療には、マウスピースでは効果が弱く「CPAP」という酸素マスクのようなものを睡眠時に付けます。

経鼻的持続陽圧呼吸療法を可能にするのがCPAPで、鼻から適切な圧力をかけた空気を送り込み、気道を確実に広げる治療法です。マウスピースが「外から」気道を広げるのに対して、CPAPな「内から」強制的に気道を広げます。

CPAPを付けていれば、睡眠時無呼吸症候群は劇的に改善されますが、違和感があるため慣れるまで大変です。CPAPから解放されるには、やはり痩せて気道を広くするしかありません。

痩せていても気道が狭い人もいます。その場合、ダイエットの効果はあまり期待できず、マウスピースやCPAPを使うか、口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を切除する手術を行うことになります。外科的手術はリスクもあるためしっかり判断することが大切です。

睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、まず痩せる、ダイエットして、それに加えてマウスピースやCPAPを行い改善するかチェックしていくことが重要です。

【まとめ】いびきは重大なシグナルかも!?

睡眠時無呼吸症候群の歴史は浅く、今から45年ほど前、1976年に病名がつけられました。それまではただいびきが大きい人、として片付けられていました。病名がなくてもリスクは変わらないので、該当する人は健康上のリスクが高いのを知らず生活していたことになります。

いびきは個性ではなく重大な健康上のリスクを示すシグナルになります。睡眠時間はあるのに日中眠い、家族からいびきについて指摘されたなど「予兆」があれば、ぜひ検査してみましょう。

たかが睡眠、されど睡眠です。睡眠時無呼吸症候群が改善されれば、熟眠感が得られるはずです。