睡眠時無呼吸症候群と診断されると健康上のリスクが大きく上がります。心筋梗塞や脳疾患などのリスクが普通の人の数倍に上がります。
それを治療するための方法としてマウスピースを口にはめて眠るというものがあります。異物を口に入れて眠るというのはなかなか億劫だという人もいるかもしれませんが、健康リスクを下げるためには重要です。
睡眠時無呼吸症候群を改善するためには、まずダイエットですが、今回はマウスピースに焦点を当てて紹介します。
マウスピース適用になるのは中程度の睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の場合、その症状によって治療法が異なります。
- 重度の睡眠時無呼吸症候群の治療法:CPAP(酸素マスクのようなもの)+ダイエット
- 中程度の睡眠時無呼吸症候群の治療法:マウスピース+ダイエット
- 軽度の睡眠時無呼吸症候群の治療法:ダイエット
重度の場合、さらに手術が検討されることがあります。手術の種類は患者の症状と身体の状態により異なりますが、一般的な手術には扁桃腺やアデノイドの摘出、口蓋垂・口腔内手術、気道拡張手術などがあります。手術によって気道を無理やり広げていく方法です。
さらに、禁酒や禁煙も推奨されます。この2つはどの病気でもネガティブな要素なので当然です。
それを踏まえて、マウスピースというのは中程度の睡眠時無呼吸症候群の場合のみ作成するレアアイテムになります。
中程度の睡眠時無呼吸症候群とは一般的にアプネア・ヒポアプネア指数(Apnea-Hypopnea Index, AHI)または呼吸困難指数(Respiratory Disturbance Index, RDI)などの指標で評価されます。
1時間あたりにどのくらい呼吸停止しているかで測定されます。数十秒呼吸が止まっていることがあり、それを一気に解消するために大いびきとなるのです。
AHIまたはRDIの具体的な基準もとに、中程度の睡眠時無呼吸症候群の一般的な基準を示すと、AHIやRDIが15から30の間になります。
ちなみに筆者は19.7でしたので中程度の睡眠時無呼吸症候群でマウスピースが適用になります。
この数値は、睡眠時に指にパルスオキシメーター(コロナで有名になった血中の酸素濃度を測る機械)と鼻にチューブを入れて寝る簡易測定器で算出します。
これが20未満なら中程度の睡眠時無呼吸症候群か軽度の睡眠時無呼吸症候群でスクリーニングします。20~40の場合「確定診断」のため、1泊入院でさらに多くの機械を付けて検査となります。
ちなみに入院費は5万円くらいかかるそうです。筆者は危なかったです。一応、医療保険の入院分は出ます。
さらに、簡易検査で40以上だと有無を言わさず、重度の睡眠時無呼吸症候群であり、治療のためCPAPの導入となります。酸素マスクをつけて寝る生活になります。
マウスピースは歯科医で作成する
睡眠時無呼吸症候群の検査、診断は耳鼻科や呼吸器内科で行いますが、マウスピース適用となった場合、マウスピースは歯科医で制作します。
医師の診断書があれば、健康保険適用でマウスピースを作れます。
どの歯科医でもマウスピースを作れるわけではないため、事前にマウスピースを作れるか問い合わせると良いでしょう。
マウスピースは歯科医と歯科技工士によって、患者の口腔に合わせて作られます。
通常、上下の歯に装着され、下顎を前方に引き出すことで気道の開口を確保します。バカ殿様の「アイーン」の口をマウスピースによって矯正するイメージです。
下顎を前に矯正しながら眠ることで、気道の狭窄や閉塞を軽減します。気道が確保されるため、睡眠時の呼吸の流れを改善します。
マウスピースの定期的なフォローアップが重要です。マウスピースには大きな力がかかります。無意識の歯ぎしりなどはとても強い力であり、マウスピースにヒビが入ってしまうことも珍しくありません。
マウスピースは1か月弱で完成する
マウスピースは歯科医においておおよそ1か月で完成します。
1回目で医師の診断書をもとに歯型をとります。
2回目でマウスピースの原型ができており、それを歯に合わせます。ここで微修正が入ることがあります。
3回目で完成品ができており、歯に合うことを確認します。
歯型からマウスピースの原型までがおおよそ10日~半月、そして原型の微調整に1週間程度かかります。
初診から1か月弱でマウスピースが完成します。
ちなみに、これが筆者のマウスピースです。
上の歯と下の歯にはめられるようになっていて。真ん中に空気の穴が開いています。夜、眠るときにマウスピースを付けると、下あごが前に出る形で固定されます。朝起きてもはまっている場合は、しっかり気道が確保され、無呼吸状態が減っているはずです。
マウスピースの価格
睡眠時無呼吸症候群用のマウスピースの価格は様々であり、地域や製品の種類によって異なります
一部の医療保険は、睡眠時無呼吸症候群の治療としてマウスピースをカバーすることがあります。保険の適用により、患者の負担が軽減される場合があります。
カスタムメイド vs. デバイス式:
カスタムメイドのマウスピースは、患者の口腔構造に合わせて作成されるため、一般的にデバイス式よりも高価になることがあります。
メーカーやブランドによる差異:
異なるメーカーやブランドが異なるタイプのマウスピースを提供しています。一部のブランドは高価である一方、他のブランドは中程度の価格帯の製品を提供しています。
保険適用なら1万円ほど
睡眠時無呼吸症候群のマウスピースは保険適用ならばおおよそ自己負担1万円弱になります。マウスピースを作った歯科医院が提携している歯科技工所によって若干費用が異なるのと、メーカーや素材、構造によっても差があります。
しかし、重度の睡眠時無呼吸症候群の治療法であるCPAPを導入すると、毎月5000円超の機械レンタル料+病院診察代(毎月の通院が必須)がかかります。
それに比べれば、自己負担10000円かからず睡眠時無呼吸症候群の治療ができるのはありがたいものです。
ちなみに写真の(筆者の)マウスピースは保険適用で7500円くらいでした。
海外の高級マウスピースは30万円!
保険適用の場合、このように透明で無機質なマウスピースになりますが、自費ならば高級なカスタムメイドのものを作れます。
筆者が歯科医の先生から聞いたところ、オーストラリア製の高級マウスピースがクオリティに長けていますが、自費で30万円超するそうです。一生使うならばそれも良いかもしれませんが、睡眠時無呼吸症候群は治るので、安い保険適用のものでもよいと言われました。
ちなみに自費でマウスピースを作った場合、医師の診断書に基づいて作ったものは医療費控除の対象となります。
マウスピースをつけて寝ても違和感はない
※重度の睡眠時無呼吸症候群と診断されると、このようなCPAPを付けて寝ることになります。
マウスピースを付けて眠ると違和感があり、寝付けないのでは?と思われるかもしれませんが、実際にはそこまでの違和感はありません。
最初の数日若干の違和感があるくらいで、あとは慣れます。
注意していただきたいのは、マウスピースを使っているとだんだん緩くなってしまうことです。マウスピースを広げる方向に睡眠中力が働くので、どうしても保険適用のマウスピースは脆くなっています。
マウスピースを作り直すことはできますが、半年ごとなど条件があります。それよりも前に作り直す場合、100%自費になることもあるようです。
とはいえ睡眠中に歯の力加減はコントロールできませんから、丁寧に扱っていたとしてもマウスピースを破壊してしまうこともあります。
筆者も目が覚めたらマウスピースが割れていたことがありました。睡眠中の歯ぎしりはそれだけ大きな力が加わっているのです。それを矯正し、気道を確保していくマウスピースの効果をなんとなくうかがい知れます。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群でマウスピースを使うには「中程度」と診断されなければいけません。そのためには、耳鼻科や呼吸器内科で検査が必要になります。
簡易検査なら保険適用で3000円程度ですが、さらに精密検査となると1晩入院することになります。
重度の睡眠時無呼吸症候群でCPAP適用にならないのはひとまず「最悪の事態」を免れています。しっかりマウスピースを付けて眠ることで、睡眠時の酸素を潤沢に吸収し、質の良い睡眠につなげられます。
マウスピースは怖くありません。いびきが大きいと言われている方は、ぜひ睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を受けてみてはいかがでしょうか?