眠れないことはここまで心身にダメージとなる!うつ病経験者が語る不眠、睡眠障害のつらさ

不眠、睡眠障害は睡眠薬の服用である程度何とかなります。しかし、睡眠薬を処方できるのは基本的に「精神科専門医」のみです。

内科医などでも軽めの抗うつ薬や睡眠導入薬くらいなら処方してくれることもありますが、本格的な睡眠薬は精神科専門医でないと処方できません。

そして精神科専門医を受診すれば「精神科通院歴」が付きます。精神科通院歴がもたらすデメリットについてはここで挙げるまでもありません。

もちろん、うつ病などの治療に不可欠な場合もありますが、そうでない場合、睡眠薬依存になってしまいます。可能な限り睡眠薬に頼らないで不眠解消ができれば望ましいのでしょう。

不眠と睡眠障害のつらさと、睡眠薬に頼らない解消法について考えます。

いつまでたっても交感神経が昂って眠れないことが続く

筆者が不眠になったのは、その原因となった部署異動のわずか10日後でした。異動の歓迎会があり、そこで手荒な歓迎を受けた夜に眠れなくなりました。

いつまで経っても交感神経が昂って、ある種の興奮状態でした。このままでは追い込まれてしまうと翌朝、一睡もしない状態で精神科にあっさり駆け込んでしまったのがすべての始まりでした。

うつ病よる不眠は何も考えられなくなります。そのため、自分のキャリアを失う「精神科受診」についてもあっさり行ってしまいました。脳が昂るというのは、必ずしも良い意味ばかりではありません。

眠れなくなる原因とは

人の自律神経は、大きく分けて交感神経と副交感神経というものからなり、この2つの神経のバランスで成り立っています。具体的には、日中、生活や仕事をしているとき、言い換えれば覚せいしているときは交感神経優位、眠っているときやリラックスしているときは副交感神経優位になっています。

夜、落ち着いてリラックスしていると眠気が出るのは、副交感神経優位になっていることの現われで、正常な自律神経の働きがあれば自然とそうなり眠りに落ちます。

しかし、抑うつ状態や強いストレスを受けるとその影響で自律神経のバランスが乱れる場合があります。眠気の副作用の場合は、日中でも副交感神経優位になってしまうからなのですが、眠れなくなる場合は逆に、交感神経優位が夜でも続き、脳が休まらない状態が続いてしまうのです。

体は疲れていても、脳が興奮しているので眠くならず、疲れも取れません。カフェイン(コーヒーなど)を摂取して眠れなくなる場合と似ています。

睡眠障害を改善するためにできること、対処法とは?

眠れないことについては、一般的に「光刺激」がよくないと言われます。テレビやパソコンを夜遅くまで見ていると、それで脳が興奮状態に陥ります。

うつ病の人は、その切り替えがうまくいかず、ずっと興奮状態が続き睡眠できなくなってしまうようです。寝る前は音楽を聴くなど、なるべくリラックスをして、脳の興奮状態を抑えるとよいとされています。あとは、睡眠薬の併用ですが、依存性もあり、注意することが必要です。

日中しっかり運動する

うつ病に対して、有酸素運動は効果があるのでしょうか。結論から言うと、どうやらかなり効果があるようです。詳しいメカニズムは分かっていませんが、運動によって、セロトニンを増やす効果があると言われています。うつ病は、脳内のセロトニン不足から起きるものですから、運動によって増えることがあれば、抗うつ薬に過剰に頼らずとも、回復によい影響を与えることができます。

どういった運動をすればよいか

セロトニンの分泌は、運動を始めて5分くらいから活発になってくると言われています。ピークは30分くらいで、あまり長い時間運動するのも適切ではありません。ただでさえ、疲労感を感じやすいうつ病なのですから、長時間の運動な脳内に疲労物質を蓄積させてしまい、逆にセロトニンを鈍化させてしまいかねません。それだは、どのような運動が効果的なのでしょうか。

うつ病の症状で、体を動かすのが億劫になっている中で、急激に激しい運動をしてはいけません。まずは、自宅外を散歩する程度から始めたらよいでしょう。最初は10分、だんだんと、30分、1時間というように伸ばしていけば、疲労感を蓄積せずに、運動量を増加させることができます。日の光を浴びるのもうつ病に効果的なので一石二鳥です。

また、スポーツクラブや公営のプールなどで水泳を行うことも非常に効果的です。水泳といっても、泳ぐ必要はありません。水中ウォーキングで十分なのです。水中では、体に適度な負荷がかかるため、ウォーキング程度でも十分な有酸素運動が可能です。慣れてきたら、少しずつ泳ぐということでよいと思います。

無理をしないことが大切

あえて、外で運動をしなくてはならないということではありません。全く体を動かせないゼロの状態から、1でも10でも体を動かすということが大切です。

自分の部屋でできるストレッチ運動などからでも構いません。ともかく、前向きに体を動かす習慣をつけていくことで、体の機能を取り戻すきっかけとなっていきます。何度も言いますが、無理は禁物です。効果的に運動をすることでうつ病の回復につなげていきましょう。

カフェインを摂取しない

カフェインは脳を刺激し、覚せい作用を高める嗜好品です。カフェインを摂取すると、眠れなくなるという人もいるように、脳内に作用します。

脳内にはアデノシンという物質があります。アデノシンが覚醒物質(眠くならない物質)であるヒスタミンを抑制し眠りに陥りやすくします。

しかし、カフェインが視床下部の腹外側視索前野におけるアデノシン受容体を阻害するので、脳内では覚醒物質であるヒスタミンが放出されやすくなり、脳が覚醒し眠れなくなります。

なお、カフェインというとコーヒーを思い浮かべる人がいますが、カフェインはお茶(緑茶やウーロン茶)にも含まれています。

お茶、コーヒー100mℓあたりのカフェイン含有量(mg)
眠眠打破(眠気防止ドリンク)240
エスプレッソコーヒー212
玉露(お茶)160
ドリップコーヒー60
紅茶30
ほうじ茶、煎茶20
番茶、玄米茶10
コーラ10
麦茶、ハーブティーなど0

表は カフェイン量比較:コーヒー、チャイ、お茶・紅茶、エナジードリンク。最もカフェインが多い飲み物は? に加筆したもの

お茶は全般的にコーヒーよりもカフェインが少ないですが、玉露はとんでもない量になります。エスプレッソは眠眠打破に相当するカフェイン量です。注意しないと本当に眠れなくなります。

カフェインを避けたい方は、ノンカフェインティー(麦茶やルイボスティー、ハーブティー)を飲んでください。

医師の処方の元適切に睡眠薬を服用する

何をどうやっても眠れない場合、薬の力を借りてください。筆者は医師ではないので、医学的なことは書けませんが、うつがひどかった時でも睡眠薬であっさり眠れるほど、脳への作用が強いものです。

数年前より、睡眠薬は処方制限が行われるようになりました。一定の種類を超える睡眠薬処方は、違法ではありませが、診療報酬を減らされるペナルティが付きました。

もちろん、多数の睡眠薬が必要な人もいるのですが、逆に考えると不要なのに睡眠薬の多剤処方をされていた人も多かったことになります。ちなみに、筆者の場合最大時の睡眠薬は3種類で、効果もヤバいと言われる睡眠薬も含めとても強力でした。

一度だけ睡眠薬で異常行動を起こしたことがあります。記憶にないのですが、起きるとコンビニのサンドイッチやパンの包みが部屋に転がっていました。レシートもあり、時間を見ると深夜の3時過ぎでした。

無意識に体が動きこのようなことになってしまいました。コンビニで買い物しただけで済みましたが、記憶がないので、大事故につながる可能性もあります。睡眠薬の怖さを時間下出来事でした。

睡眠導入剤と睡眠薬はまた異なるのですが、医師ではないのでそのあたりの詳述は避けます。ただし、日本で合法な睡眠薬の中には海外では麻薬扱いされているものもあり、海外旅行時は要注意です。税関で見つかると困ったことになります。

病院の診断書として、「この睡眠薬は貴国でも合法ですよ」というものもあります。これを英文診断書と呼びます。睡眠薬は特に注意が必要ですのでご参考まで。

精神的に強くなる、開き直ることが大切

精神的に強くなるというのは、精神論で「気合で治せ」というものではありません。当然、気合や根性はストレスとなり不眠を悪化させ、うつ病などの精神疾患に導いてしまいます。

そうではなく、ストレスの原因は自分ではない、という他責思考が大切です。それだけ腹をくくって負の感情を自分で抱えないことが大切です。

このあたりの勘定の処理「コーピング」については、機会があれば紹介したいと思っています。

まとめ

睡眠障害になると、身体のエネルギーがチャージされず、ずっと体調不良が続きます。本当につらい時に、外に出て陽の光を浴びたり、有酸素運動したりというのは難しいかもしれません。

ストレスなどで動けなくなる前に、日常的に睡眠しやすいコンディションを作ることで、睡眠薬なしで眠れない状況に陥ることを避けます。

外に出て身体を動かすのは、ストレス解消にもなりますので、可能な限り健康的に睡眠できる環境を整備してあげましょう。

そうすることでストレスなどによって不眠になるリスクを下げていきます。