ストレス対策と睡眠の重要性 ~ 睡眠はストレス耐性を上げる万能薬!じっくり眠ろう!

日常生活を営むと、さまざまな場面でストレスに直面します。ストレスは心身の健康を害するものであり、適切に対処、つまりストレス解消することが大切です。

ストレスに対して、そもそもダメージを受けないように抵抗力をつけること、そして実際にストレスに接したときに適切な解消法を行うことで、心身のバランスを維持できます。

ストレス解消できないと、うつ病などメンタル疾患だけではなく、高血圧や心筋梗塞など生活習慣病の原因にもなります。

ストレスと向き合うためには睡眠を上手に活用するのが良いです。今回はストレスに対抗するための「睡眠の重要性」について考えていきます。

適切な睡眠はストレス解消に役立つ!

睡眠には疲労を回復し、ストレスを解消する働きがあります。

ストレスに打ち勝つためには「コーピング」と呼ばれる対処法があります。コーピングは「趣味に没頭する」「お酒を飲む」「走る」など具体的なアクションを起こすことで、抗ストレス作用をもたらします。

コーピングの1つとして「よく眠る」があります。寝ることは有効なストレス解消法です。

ストレスが溜まっていると、日中に眠気が生じます。睡眠不足や睡眠障害などの問題があると、疲労感がもたらされます。その結果、作業効率が低下したり情緒不安定になったりして、行動や判断のミスにつながります。

労災事故や交通事故の背景に睡眠の問題があることが統計かわわかっています。

睡眠不足が長期にわたると、交感神経系優位が持続され、その結果、常に脳が興奮しているので、脳卒中や心筋梗塞など生活習慣病のリスクを高めます。

合わせてうつ病などの精神疾患になってしまうリスクも高めます。睡眠をとることで、ストレスを解消し、交感神経を鎮めて病気のリスクを減らします。

ストレス解消のための快眠のポイント

ストレス解消が健康にとっては大切で、そのため快眠をとる必要があります。熟睡でき快眠になるポイントをまとめました。

室内の光

眠気を生じさせるホルモンのメラトニンは朝の光を浴びることで生成されます。朝早起きして外に出ましょう。メラトニンが身体に分泌されるのは、朝日を浴びて14~16時間後になるので、例えば朝8時に起床して光を浴びると、14時間後の22時には眠気が来てちょうどよくなります。

可能ならば毎日同じ時間に起きて、朝日を浴びると睡眠のリズムが安定します。

体温

人は眠りに入る中で体温が1度低下し、この体温変化していく中で深い眠りに入ります。お風呂に入ったあとに眠くなるのは、身体が温まった状態から体温が下がっていくためです。

これが行き過ぎると山で遭難して低体温症で倒れてしまうようなケースになります。

夕食で温かい食事をとることも、就寝前の体温を高めに保つことにもつながります。

自律神経系

人間は生物として、適切に自律神経系(交感神経、副交感神経)の切り替えをお行っています。日中は活動のために交感神経系が優位となり、夜は休息するために、副交感神経系が優位となります。

夜に交感神経系のたかぶってしまうと眠れなくなります。カフェインや光刺激は交感神経を優位にします。そのため、交感神経を抑え副交感神経系優位の状態にするため、暗く静かな環境で過ごすことが大切です。

夜遅くまでパソコンに向かったり、ゲームをしたりすることは控えましょう。ベッドにはい行ってからのスマホも当然交感神経をたかぶらせるもとで、眠れなくなります。

睡眠環境

部屋が明るすぎる、騒音がする、室内が暑すぎる、寒すぎるなど睡眠環境もストレスに影響します。適切なエアコン使用は当然です。

また、アイマスクや耳栓をして眠るのも効果的です。それぞれ1000円くらいで購入できるので、周囲が気になって眠れない人は、ぜひ寝るためのアイテムをそろえてみましょう。

厚生労働省の『健康づくりのための睡眠ガイド2023』を読み解く

2023年12月に厚生労働省が『健康づくりのための睡眠ガイド2023』を10年ぶりに改訂しました。あくまでも「指針」であり、義務などではありませんが、みなさんが睡眠の現状について把握していただき、生活習慣の改善に役立ててくださいというものです。

『健康づくりのための睡眠ガイド2023』のポイントをまとめます。この指針を出した背景には睡眠による休養を十分とれていない人が増えているという危機感があるようで、年代別の目安となる睡眠時間をまとめました。

『健康づくりのための睡眠ガイド2023』で世代を成人と子ども、それに高齢者の3つに分けています。それぞれの世代についてまとめます。

子どもの推奨睡眠時間

子どもについては、小学生は9時間から12時間、中学生・高校生は8時間から10時間確保することを推奨しています。

とはいえ、中高生については、なかなか10時間睡眠というのは現実的には難しいもので、可能な限り8時間睡眠を目指したいところです。

成人の推奨睡眠時間

成人については推奨する睡眠時間6時間以上を目安とするとしました。つまり、レム睡眠→ノンレム睡眠の90分サイクルを最低4回行って目覚めると健康に良いことになります。

5時間では足りません。可能ならば、レム睡眠→ノンレム睡眠を5サイクル、7時間半の睡眠を目指せればよいことになります。

高齢者の推奨睡眠時間

65歳以上を高齢者と定義します。高齢者については、少し独特であり寝床にいる時間が8時間以上にならないことを目安にします。

つまり、あまり寝転がっていると身体機能が低下するため、起き上がって運動することが必要です。

8時間の間で必要な睡眠時間を確保してほしいということになりました。年齢とともに睡眠時間が短くなる傾向にあるのですが、高齢者の場合も可能ならば、レム睡眠→ノンレム睡眠を4サイクル、6時間睡眠は欲しいところです。

『健康づくりのための睡眠ガイド2023』で示された睡眠時間と死亡リスク

今回の『健康づくりのための睡眠ガイド2023』では、睡眠と死亡リスクについても記述がありました。

睡眠について近年の研究で科学的に明らかになった内容も『健康づくりのための睡眠ガイド2023』に記載されています。

研究の結果として、成人と高齢者については、目覚めた時に体が休まったと感じる「睡眠休養感」が重要になります。

アメリカで行われた調査で、40歳から64歳の勤労者成年世代では、睡眠時間が5時間半未満で「睡眠休養感」が低いほど死亡リスクが高くなりました。

  • 5時間半以上睡眠をとっている
  • 熟眠感がある

このことが健康にとって重要で死亡リスクを下げます。だらだらと浅い眠りのレム睡眠をといるのではなく、深い眠りで熟眠感があるノンレム睡眠をしっかりとって5時間半以上というのが健康にとっては望ましいようです。

そして、「睡眠休養感」を高める方法としては、就寝間際に夕食をとったり、朝食を抜いたりといった習慣を改める、精神疾患や生活習慣病にならない、運動を適宜行う(運動不足にならない)、睡眠の快適さなど多岐にわたる項目の改善で達成できます。

睡眠前にカフェインを摂取しないなども重要ですね。実際の睡眠時間に加えて、眠って休めたという感覚が健康にとって大事であることがわかります。

『健康づくりのための睡眠ガイド2023』と子どもの健康

一方、子どもについては研究の結果、睡眠時間が不足すると肥満のリスクが高くなる、学業成績が低下したりしたという報告もあります。

遅くまで起きていると成長ホルモンにも影響が出ます。「寝る子は育つ」というのはやはり真理なのです。

子どもの睡眠をしっかりとる対策としては、生活習慣に注意し、しっかりと毎日運動して、ゲームやスマホを控え目に(特に寝る前)することで、深い睡眠につなげることができます。

昔から言われていることですが、子どもの場合は生活リズムを安定させることが大切になります。

子どもの睡眠は保護者の責任でもあります。各家庭によって環境が異なるので、価値観の問題もあり、各自が気を付けていくしかないでしょう。

まとめ

睡眠はストレスを減らし、ストレスに対抗する身体を作ります。実際に睡眠に関する研究でも、深い睡眠が死亡リスクを減らすことが示されています。

各年代によって望ましい睡眠時間が異なります。日々の生活の中で、望ましい睡眠時間を満たせるかどうかはわかりませんが、さまざまなリスクを減らす意味でも可能な限り時間を確保したいものです。

深い眠りには睡眠環境も重要です。ベッドの質、部屋の暗さ、周囲の騒音なども影響します。睡眠環境を整備することは、日々の生活習慣の改善と同じくらい効果があります。

ベッドや寝室にお金をかけることも、長い目で見ればご自身の健康につながっていきます。ぜひ、生活習慣の見直しとともに、睡眠環境の見直しも進めてください。